歯科は患者と医師が互いに症状について理解をしあい、治療の内容についてしっかりと共有ができてこそ本来の治療が出来るようになるものです。しかしながら歯科において患者と医師が完全に理解をし合うということは難しく、時として治療が終わった後でトラブルが起きることもあります。ですが今後にかけて増えていくであろうとして見込まれている重大なトラブルが「高齢者と歯科の意思疎通」という部分なのです。現代の日本は今後少子高齢化がさらに加速していくと見て間違いないとされています。
特に2025年には団塊の世代が75歳以上になるということで医療の現場には高齢者が多く訪れるようになり、かつそこで認知症患者が増えるということも確実視されています。認知症はさまざまな問題を引き起こしますが、歯科に単独で来院した高齢者が前回までの治療内容を記憶していなかったり、前回の時点で了承を得て作成した詰め物などに対して猜疑心を抱き治療が行えなくなるなどが懸念されています。実際現状でも痛みどめの薬の処方や抗生物質の処方などを巡って「医者が自分を騙そうとしている」と主張する患者とのトラブルが報告されていますから、今後歯科はより患者に理解しやすい説明などの対策が必要になると見込まれています。ある程度の範囲内であればスタッフなどとのミーティングで対応できるでしょうが、認知症に対して完全な対応をするということは専門家でも無くては不可能なことです。
こうした高齢化による医療の現場の変化にはどう対応するべきか、より深く考えていく必要があるでしょう。